<Liver trial>
「宍戸さん取敢えずリビングに向かいましょう」
「そうだな」
冷静に判断し2人はダイニングを出てリビングへ向かう。
リビングはこの洋館の中心に有る為、2階に居ても1階に居ても必ず其処ならば人に気付く。
少し広めなダイニングを反時計回りをしてドアに向かった。
「樺地、リビングに向かうぞ」
「ウス」
跡部もこの家の造りを把握していた。
その為に周りに注意しながら歩き洋館の中を探る事が出来た。
樺地と2人になった事は流石に驚いたが…。
「如何しよう…みんなと逸れた」
早く探さないと嫌な予感がする。
それは忍足とて同じだった。
始めは一緒に同じ部屋に入ったのだから…。
そして少し経ってから2人以外の人間が消えた。
明らかに不自然だ。
「跡部たちもアホやないからリビングに向かってるやろ」
はコレが噂の怪現象なのかと呟いた。
忍足の提案でリビングに人が集まるのを待つ。
不意にが窓際に足を運んだ。
カーテンは締め切られている。
そのカーテンの隅に人影を見付けた。
しゃがみ込んでカーテンを掴んでいる。
「…誰か居るの?」
声を掛けるとその人影はゆっくりと振返って立ち上がった。
「おい、長太郎」
ドアに向かって歩いていた筈の宍戸が足を止めた。
ドアの前に人が経っている。
ライトを当てると女性が微笑んで居た。
「此処を管理してる方ではなさそうですね…」
長太郎は足音も立てずに歩く女性を見て言った。
ふわふわと揺れるスカートの裾からは女性の足は無かった。
ガチャ
写真をポケットに仕舞い書斎のドアを開け廊下へと出る。
樺地は跡部に遅れを取らない様に後を追う。
書斎からリビングへの道はこの廊下1本である。
他に部屋も無ければ道も無い。
所が跡部は歩いてる途中に男性の声を聞いた。
それはか細く静かな状態でないと聞取れない程の声だった。
「……」
樺地には聞こえなかったらしい。
跡部が立止まらずに歩くと何も気にしない様子で後に着いて来た。
「リビングに行くの邪魔するとかじゃねぇんだろうな」
唯一の出口であるドアを塞がれ宍戸・鳳組は困っていた。
その女性はただ立っているだけでその場から動こうとしない。
近寄れないのは何が起きるか解らないからだ。
暫くの間お互いに動けずにいた。
「跡部と樺地やんか」
リビングのと離れた所にいた忍足は直ぐに跡部と樺地が戻って来た事に気付いた。
残るは宍戸と鳳のみ。
「お前等何処に行ってた」
跡部の不機嫌そうな声を聞き忍足は自分達と同じ様な異変が起きた事を悟った。
きっと宍戸と鳳の所にも…。
バンッ
勢い良く開けられたリビングのドア。
其処から全力疾走して来たであろう宍戸と鳳。
肩で息をしてはリビングに揃っているメンバーを見て安堵の息を吐いた。
「お前等は…無事、か…」
未だ揚がった儘の息を落着かせようとゆっくり歩き出す。
「…あの、先輩は……?」
離れた所に居る為姿を確認出来ない鳳は気になった。
「奥に居るで、ほらあそこ」
忍足が後ろを指差す。
其処には確かにの姿が有った。
遠くて聞こえないがは確実に"誰か"に話し掛けていた。
跡部でも忍足でも樺地でも宍戸でも鳳でもない"誰か"と。
「ねぇ、如何したの?」
「…何、してるの?」
問い掛けても何も答えないでいる。
床につきそうな程長いスカートを履いた少女が静かに立っていた。
の顔を見てウェーブの掛かった長い栗色の髪を揺らしに向かい歩いた。
−お姉ちゃん、誰?−
初めて聞く声は透通っていて確りとの耳に届いた。
「今の…」
「聞こえたか」
少女の声はだけでなく跡部達にも聞こえていた。
何処からともなく聞こえる声。
まるで脳に直接話し掛けているかの様な不思議な感覚だった。
「あたしは、…あなたは?」
−お姉ちゃんって言うの…?−
少女はの質問に答えない。
の名前を繰り返し言うとは黙って頷いた。
「何してんねん」
「1人で立って何かあるのか?」
「さっきの声は何だったんですか?」
の元にやって来た彼らにはが話していた少女の姿が映らない。
−お姉ちゃん、名前教えてくれてありがとう−
少女の方に向直ると少女は嘲う様にを見上げた。
あ…すみません。
未だ続きます。
ってか未だ序章も終わってないです…。
前中後編位で終わるかと思ってたんですけど。
相変わらずテロップ立てるのは苦手です(汗
取敢えず未だ続きます。
2005/07/09